後世に継承すべきこの欅普請の伝統民家が、今、行き場を失っています。
千葉県香取市府馬に眠っていたこの「欅普請」は、すべて良質な欅材が使われています。長い年月をかけて、新材にはない強度や魅力を増しています。
私はこの建物に魅力を感じ、将来この場所を再生し、地域の人や訪れる人にもう一度使ってもらえる場所にしたいという思いから、この古民家を購入しました。
しかし、実際に建物を詳しく見ていく中で、大きな問題があることが分かりました。長い年月の中で建物が傷み、現在は家全体に傾きが生じています。そのため、現状のままでは安心して人が利用できる状態ではなく、本格的な修繕・改修が必要です。
そして、私自身には、この古民家を再生するために必要となる十分な資金を用意することができません。
だからといって、このまま解体してしまうことには、どうしても抵抗があります。
古民家には、現在の住宅にはない素材、造り、空間、そしてその土地で積み重ねられてきた時間があります。柱や梁、建具など、一度失ってしまえば二度と同じものをつくることはできません。この建物にも、これまでここで暮らしてきた人々の記憶と、この地域ならではの風景が残されています。
そこで現在、この古民家の再生に力を貸してくださる方を探しています。
例えば、古民家再生に関心を持つ個人・企業・投資家の方、建築・不動産・地域活性化に携わる方、あるいは「この場所を自分の手で再生してみたい」と考えてくださる方とのご縁があればと思っています。
方法は一つに限定していません。
この古民家そのものを買い取っていただき、新しい所有者として再生していただく方法。共同事業や事業パートナーという形で資金や技術を提供していただく方法。あるいは、改修後の活用方法を一緒に考えながら、段階的に再生していく方法など、さまざまな可能性を模索しています。
再生後の用途についても、住宅としてだけではなく、古民家カフェ、宿泊施設、コワーキングスペース、ワーケーション施設、地域交流の場、撮影・イベントスペースなど、この場所の特性を生かしたさまざまな活用が考えられます。
私は、この建物を「直せない古い家」ではなく、「まだ可能性を持っている建物」として見ています。
必要なのは、資金だけではないのかもしれません。知識、技術、アイデア、そして「この建物を残したい」という思いを持つ人が集まれば、新しい価値を生み出せる可能性があります。
もし、古民家再生や地域の未来づくりに興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度この建物を見ていただけないでしょうか。
傾いてしまった古民家だからこそ、そこから新しい物語を始められるかもしれません。
この場所にもう一度、人の笑顔と灯りが戻ることを願っています。
「この古民家を再生してみたい」「一緒に活用方法を考えてみたい」「購入・投資・事業として可能性を検討したい」
そんな方との出会いを、心からお待ちしています。
日本の伝統的な建築技術を次世代に引き継いでいくことを目標としています。具体的には、木造建築の技術、屋根葺き、左官、装飾、畳製作など、様々な分野の伝統技術が含まれます。これらの技術は、文化財の保存や持続可能な社会の実現に貢献するとともに、日本の建築文化を支える重要な要素です。この「欅普請」プロジェクトはそれらを伝える重要な役割を果たします。
私が伝統民家存続について、危機意識の急激な高まりを痛切に感じたのは、2011年3月11日に発生した東日本大震災の時でした。激甚化した自然災害によって凄まじい被害が生じ、多くの建物が取り壊れている現状を目の当たりにしました。
現在でも地方には百年、二百年前に建てられた伝統民家がかなりの数が残されています。生活様式の変化に対応するため、改築はありますが、これらの伝統民家の耐久性は現代の工業化住宅とは比較になりません。
丁寧に手を入れていくことで、家族の歴史の記憶まで共有できる最良の住まいとして受け継いでいくことが可能です。その長寿命を支える建築技術は優れた手仕事によるものです。私は伝統民家を住み継いでいくには、昔ながらの技法や素材の活用が要であると考えています。
また、地域資源の活用、景観の再編にも関わる文脈へと繋がっていきます。それは私のデザイン思考の根底を流れ、いまとなってはライフワークとなりました。